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2008年08月

白川郷合掌造り集落


建築士会の研修会で白川郷合掌造り集落に行ってきました。
今なお600人を超える人々が暮らす世界遺産は、
さすがに見ごたえがありました。

中には築数百年といった合掌造りも有り、
建物に施されたいくつもの工夫と、
先人の知恵と建築技術の高さに驚いた。

特に茅葺屋根の耐用年数には、
いろりの煙が大事な役割を果たしているといった、
人々の日常生活と建物の寿命が密接に関わり合う仕組みは、
現代住宅においても考えていくべきテーマじゃないかと、あらためて思う。


模型は建設のシュミレーション



設計を進める上で、模型製作はとても大事です。
ボリュームやプロポーションなど、
模型を手にとって様々な角度から眺めてみると、
いろいろな事に気が付きます。

でも、模型製作で一番大事なのは、
模型をつくる過程です。

僕は模型をつくる前に、製作手順と、
組み合わせる材料や加工の仕方などを、頭の中で組み立てます。
頭の中で、ある程度くみ上げられたら一気に模型をつくります。

その時、如何に効率よく、少ない材料と少ない手順で組上げられるかが最大の関心事です。


↑こんな風に建物が複雑なほど、そんな事を考えます。

大抵、模型でつくりづらい部分は、本物も施工しづらいものです。
施工しづらいものは、仕上がりが悪くなる可能性が高いと言えます。

そんな風に考えながら模型をつくれば、設計や現場監理で問題になりそうな部分が見えてきます。

CGはかっこいいけど、建築の検討は、やっぱり模型が一番。


タグ :模型

管理建築士資格取得講習

受けてきました。
「管理建築士資格取得講習」
9:30~17:30までみっちり。

平成20年11月28日から新しい建築士制度がスタートします。
この法改正にともない、管理建築士の要件が強化され、
管理建築士になるためには、今回のような講習を受講し、
終了考査の試験を受けて合格しなければならないことになりました。
(今日の講習はいわゆる”みなし講習”)

姉歯事件以降、様々な改正がなされる法律。
建築士の業務は増える一方です。。。

稲田昭子 和紙人形展

叔母の稲田昭子さんが和紙人形展を開催することになりました。
飯山で和紙店を営む傍ら、趣味でつくり続けた人形は70体程。
温かくやさしい表情の人形は素材に手漉き内山紙を使っています。
誰にとっても、きっと、なつかしい情景に出会えます。
是非見に来てください。

稲田昭子 和紙人形展
-手漉き内山紙と私-
開催期間:9月3日(水)~9月14日(日)
【入場無料】休館日:9月9日(火)
会館時間:午前10:00~午後5:30
会場:中野陣屋県庁記念館
長野県中野市中央2-4-4
TEL/FAX:0269-23-2718


”食”と”住”

8/22はTOiGOで美谷島健さん主催のまちづくりミーティングに参加。講師は信州自然村代表の飯沼氏
8/23は塩尻の長野県林業センターで開かれた信州木造塾に参加。

この二つの講演を聞いて、たまたま“食”と“住”について同時に考えを巡らすこととなった。

僕らが設計で“住”を考える時、食堂や台所など“食”にまつわる事を考えることは当然の事だ。(“衣”についても同様である。)でもその時僕らは“食”の何について考えているだろうか。機能的に使えるキッチン。十分な収納。楽しく食事ができる雰囲気の食堂。料理がおいしそうに見える照明。等々・・・。

だけど、“日本の食糧自給率を上げるためには”とか、“どうしたら地産地消などの食生活改善運動に貢献できるか”といった視点から“住”を考えることはあまり無かった。
でも、一般の個人住宅で扱うには問題の対象が大きすぎると思える事柄も、一人ひとり個人が地球の環境問題を考える時代、全く無関係でもないだろう。

考えてみれば、いきなり地球の環境問題を個人住宅に持ち込むような話より、もっと身近な“食”から建築を考えてみた方が、案外“エコ”につながるような気もする。

百貨店と遊園地とお稲荷さん



僕は前事務所在籍中、問御所のそごう跡地の再開発に一担当者として関わっていました。現在のTOiGOです。

そごう(丸光)建物解体撤去から現在のTOiGOが完成するまでの一部始終を見ることとなり、長野の中心市街地の大きな転換点を体感することにもなりました。

資料によると、解体されたそごう(丸光)デパートは昭和32年に4階建ての百貨店として開店し、34年に5~7階を増床した建物で、そのころには既に、屋上に遊園地が常設されていたそうです。1970年生まれの僕にとっても、子供のころの思い出として残る丸光デパートの屋上遊園地は子供達に大人気でした。

そして、僅かに残る記憶。否、忘れていた子供の頃の大きな心の動きを、この再開発の仕事は思い出させてくれました。

そごう(丸光)屋上に祀られていた「お稲荷さん」です。

デパートの屋上にお稲荷さんがあるのは、商売繁盛、家内安全を祈願する屋敷神を祀る伝統に則したもので何も特別な事ではありません。しかし、子供心に近代的なデパートの屋上、しかも遊園地の一角にあるお稲荷さんのことを、「遊園地」と「稲荷神社」という対比的なイメージから、印象的なシーンとして今でも思い出すことができるのです。

残念ながら、現在このお稲荷さんは、建物撤去の際に魂抜きのお祓いをしていただいて、この再開発事業地内で、皆の目に触れることができる場所に屋敷神はいません。(TOiGOに入る各テナントや事業者が祀る神様はいるのかもしれませんが。)

僕は、特別な宗教心や信仰心があるわけではありません。また、古き良き時代の…等というノスタルジックな気持ちでもありません。でも、なんとなくこのプロジェクトに関わっている間中、心のどこかで気にかかる事柄でもありました。

それは、初めて経験する“再開発の現場”が都市の多様な考え方や思いを画一化する作業をしていくように思えたからでもあります。これは、プロジェクトに対する批判ではなく、そうせざるを得ない状況も多々あることで仕方がないことだと思っています。

でも、この地が、古今東西あらゆるものが集まるまさに“百貨店”であり、「遊園地」と「お稲荷さん」が当たり前のように共存する懐の深さを兼ね備えていたことを忘れてはいけないと思うのです。子供だった僕の心にも魅力のあるこの場所は、どんな思いも受け入れてもらえそうな雰囲気を持っていました。一見すると場違いな屋上の稲荷神社は、その象徴でもあったのです。

この再開発とほぼ同時期、当時僕はもうひとつのプロジェクトに携わっていました。大門町の藤屋旅館のリニューアルプロジェクト、現在のTHE FUJIYA GOHONJINです。この大門横町をも視野に入れた老舗旅館のリニューアルとTOiGOを巡る再開発のふたつの案件を担当しながら、時には同じ日に両方の打ち合わせを行ったりもしていました。

いわゆる、まちづくりにはいろいろな方法があるのでしょう。

僕には、まちづくりを語れるほどの知識も実績もあまりないけれど、このふたつのプロジェクトほど対照的なものはありませんでした。どちらも、事業としての成功は企業にとって大きな願いであるし、まちを元気にしたいという気持ちは同じベクトルのはずですが、アプローチは全てが真逆でした。どちらが良い悪いといった話ではなく、同じ時代、同じ地域のまちづくりの一端を担うプロジェクトの意思決定のプロセスが、これ程までに違うものかと単純に驚き、戸惑ったものでした。

TOiGOがオープンして2年が経とうとしています。
最近になって、TOiGO2階でアーキテクトカフェなるものをつくろうとしている美谷島さんとTOiGOについて話をする機会を得て、あらためてそんな事を思い出しました。成り行きで少しお手伝いもすることにもなりましたが、もう一度いろいろなことを考えるキッカケにもなりそうです。


“和”について考える



和して同ぜず(和而不同)

この言葉は僕が中学の時の学級目標に掲げられていた言葉です。
その頃は「仲良くしても同じにはならない」といった意味として、“和”とは自分の個性を抑えて全体を丸く収めること・・・ではない。ということを学んでいたと思います。

でも、現代社会の“和”のイメージはどうだろうか。和を以て貴しとなすの“和”のような、衝突や対立を避ける文化のほうがはるかに強く醸成されているような気がする。
ここに、大多数の日本人が持つ“和”に対するイメージの誤解があると思う。
和するとは、一人一人がまず自らの個性を最大限に発揮して、自立すること。つまり一人一人が大きな存在となること、その上でそうした者達が互いに和することを意味するのだと思うし、そうした“和”の精神が日本そのものを指している言葉であるとも思っている。

一方で、建築やインテリアに「和風」という言葉を使うことがある。おかしな言葉だが「~風」ということは“和”のようなニセモノであることを自ら宣言しているような言葉だ。
~風というからにはベースは“和”ではないのである。「洋風」に対して「和風」なのだろうが、そもそも僕たちの立ち位置はどこなのさ!と問いたくもなる。自分の立脚点に自信がもてないが故の~風なのかもしれない。

どちらの話も、現代の日本人が持つ“和”に対するイメージが希薄であることが原因だ。

つまり様式概念化してしまった和風は“和”ではなく、“和”はひとつのスタイルを指し示すものではないと思っている。スタイルとしての和風はつまらないし、僕たちには共感できるものが少ないのだ。それよりも多様な個性を内包しながら各々が他者と協調し大きく和する(大和)ことこそが日本人だからできる、日本を表現する方法のひとつではなかろうか。

もっと“和”な精神をもって建築をつくろう!

写真は、いろいろな要素を同一環境に併存させた「THE KAWABUN NAGOYA」

タグ :kawabunn

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